スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)@東京国際映画祭
こんにちは。ふみです。
最近は勉強が特に忙しくなってきたので、映画は映画館で観るだけにしてネトフリで映画の代わりにちょっとずつドラマ観ています。ファーゴの次はストレンジャーシングスにしようかな…
さて、そんな中で今回紹介する映画は
スリー・ビルボード(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)!!
予告編が出た半年以上前からずっと楽しみにしていた映画です。就活だろうが絶対観たいと思っていたのですが…東京国際映画祭での公開が決まり、授業に支障の出ないスケジュールだったので観に行ってきました!
中小規模の作品がアメリカ一般公開より早く観れることは滅多になく、1時間以上サーバーと格闘してチケットを取ってくれた妹には感謝しかないです。
本来、複数に記事を分けるべきところをほぼ1つにまとめてるのでかなり長い…
スリー・ビルボード について
スリー・ビルボードの紹介
予告編(日本語字幕付き)
予告編(オリジナル版)
THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI | Official Red Band Trailer | FOX Searchlight - YouTube
タイトル:スリー・ビルボード
原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
監督・脚本・制作:マーティン・マクドナー
キャスト:
フランシス・マクドーマンド…ミルドレッド
ウディ・ハレルソン…ビル・ウィロビー署長
サム・ロックウェル…ジェイソン・ディクソン警官
ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、アビー・コーニッシュ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ルーカス・ヘッジズ など
公開日:2017年11月10日(アメリカ)、2018年2月1日(日本)
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(アメリカ)、20世紀フォックス(日本)
公式サイト(英語):Three Billboards Outside Ebbing, Missouri | Fox Searchlight
公式サイト(日本語):映画『スリー・ビルボード』2月1日(木)全国ロードショー
あらすじ
最愛の娘が殺されて既に数ヶ月が経過したにもかかわらず、犯人が逮捕される気配がないことに憤るミルドレッドは、無能な警察に抗議するために町はずれに3枚の巨大な広告板を設置する。それを不快に思う警察とミルドレッドの間の諍いが、事態を予想外の方向に向かわせる。
(FOXサーチライト・ピクチャーズ公式facebookより)
ヴェネチア国際映画祭脚本賞とトロント国際映画祭観客賞を受賞し、今年の賞レースの中でも話題作となっています。そのため日本公開は2018年2月1日と、かなり早いです!ノミネート発表が1月23日(アメリカ時間)なので発表後間もなく観れることになります。
追記:ゴールデングローブ賞最多受賞(ドラマ部門作品、ドラマ部門主演女優:フランシス・マクドーマンド、助演男優:サム・ロックウェル、脚本)受賞
アカデミー賞6部門7ノミネート(作品、主演女優:フランシス・マクドーマンド、助演男優:ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、脚本、編集、作曲)(2月1日更新)
みどころ
★役者の演技が凄い!
皆凄く良かった!やはりマクドナー監督は曲者俳優の扱いが上手い。特にメインキャストのフランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルの演技が凄すぎる…
★母親VS警察という対決にとどまらないストーリー展開!
3枚の広告板が設置されたことにより、登場人物がどうなるかに注目です!
観る上で知っておいた方がいい知識
映画評論家の町山智浩さんのトークショーがあり、基本的には情報は極力シャットアウトした方が楽しめるとしつつも、1点だけ観る前に教えてくれたことが作品への理解にもつながると思ったので紹介しておきます。
それは映画の舞台である「ミズーリ州」についてです。
ミズーリ州はアメリカ内陸部の中心に位置しています。そのため南北戦争時代、州内で南北に分かれて争いが起こっていました。そしてミズーリ州といえば知っている方もいると思いますが、2014年にファーガソンで白人警官によって丸腰の黒人青年が射殺される事件が起きています。特に田舎では未だに黒人に対する白人の差別意識が強いことを知らしめてしまいました。
原題はThree Billboards Outside Ebbing, Missouriなのですが、なぜこんなに長いタイトルなのか、ミズーリの地名が入っているのかちょっと解った気がしました。邦題もミズーリまで入れてほしいと思ってしまった…
感想など
★初めて東京国際映画祭で観た感想についてなど
TOHOシネマズ六本木の7番TCXスクリーンで観たのですが、スクリーンがめちゃくちゃ大きい。こんな大きいスクリーンで観れるとは思わなかった。名古屋109のIMAX並みかそれ以上あった気が…席は端の方でしたが特に問題なかったです。アメリカの一般公開よりも早いということで不正対策のため暗視スコープで客席の撮影があったりと普段の上映とは違う状態で上映されました。年齢層は大半が私(大学生)よりも年上の人。まぁ時間帯やキャスト的にそうなるよな…
上映後に大きな拍手があったのですが、これは映画祭なら当たり前のことなのだろうか気になりました。映画祭によく参加される方がいたら教えてほしいです。その後、町山智浩さんのトークショーがありました。雰囲気もよく、参加してよかったと思いました!町山さんもですが、質問をする方も映画の知識が凄かったです。トークショーの内容でネタバレ要素無いので書きますが、サム・ロックウェルが「自分が日本で人気がないことを気にしている」という話を聞いて、それ以前に日本のこと気にしてくれてたのかよ!!!って個人的にかなりビックリしました…この映画できっとブレイクすると思うよ!
唯一不満なのが紙のチケットが無かったことですかね。私は半券を集めてノートに貼ったりしているので記念に欲しかった。
★本編の感想
注意事項
※具体的な内容には言及しませんが、あらすじ・予告編動画以外の情報をシャットアウトしたい方は飛ばしてください。
(※完全ネタバレ記事は下のリンクからどうぞ。)
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先に結論だけ言っておくと…
「トロントで観客賞を受賞したのも納得の大傑作!」
とんでもない大傑作ですよ!!!!!少なくとも今年の中では断トツ、今まで観た中でも上位に入る作品でした!
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個人的にはラ・ラ・ランドとファーゴの良いとこ取りのような印象を持ちました。(理由は後述。)
マクドナー監督作品(長編作品はヒットマンズ・レクイエム、セブン・サイコパス)は一通り観たのですが、スリー・ビルボードを観る前までは何故海外でこんなに高評価なのか理解できませんでした。というのも、今までのマクドナー監督作品はクセが強くて好き嫌いが分かれやすく、過去作品のファンには申し訳ないですが個人的には「登場人物の作り込みと予想不可能な展開の仕方は凄い!けど…!」と、好きだけどドストライク!まで行かない感じでした。(10点中7~8ぐらい)
しかし、スリー・ビルボードは個人的にしっくりこなかった点が上手く改善されているなと思いました。代表的なのがテンポの良さです。本編は約2時間ありますが、体感時間は正直1時間ほど。常に感情を揺さぶられっぱなしで、心の中でかなり叫んでました…心の中だったら応援上映できそう(笑)ラ・ラ・ランドも感情を揺さぶられ、心の中で叫んでいましたが、スリー・ビルボードの方が叫んでました。
キャラに関しても前作以上に登場人物の作り込みがしっかりしているだけでなく、アメリカの社会問題を取り入れつつ、ちゃんとエンタメとして成立していることや、下手したら暗くどんよりした展開になりそうにも関わらず笑える要素がちゃんとあったのが本当に凄い。本人たちは凄く深刻なんだろうけど、観客からすると思わずゲラゲラ笑ってしまうシーンが何個かあったのも良かったです!劇場内も結構笑い声が聞こえていました(笑)マクドナー監督作品でここまで笑えるのは初めてかも。個人的にこの感覚はファーゴとかに似てるなと思っています。
あとは、先程も述べたように世相や社会問題が映画を通して触れることが出来たのも良かったです。アメリカ人ならあれらのネタは常識なのだろうか…。個人的に映画を通しての方が詳しく知りたくなるので。作品の理解にも繋がりますし。
気の早いアカデミー賞2018予想など
※赤色の「」は人によって地味にネタバレしかねない可能性があるので反転させるようにしています。
作品が初めて公開されたヴェネチアで脚本賞、まさかのトロント観客賞…と、公開時期からして賞レース狙いだなとは思いつつ予告をみた時は快進撃を展開するとは思わなかったのでかなり驚いています。
アカデミー賞前哨戦で最も重要だとされる賞の1つであるトロント国際映画祭観客賞を受賞したとなると、今後不祥事さえなければアカデミー賞に関わってくると思うのでスリー・ビルボードの予想をしてみました。
とは言っても、所詮素人の予想なのでサラッと読んでもらえれば。
ノミネート・受賞されそうな部門:作品賞、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、助演男優賞(サム・ロックウェル)、脚本賞(マーティン・マクドナー)
★作品賞
最近のアカデミー賞の傾向としてトロント国際映画祭観客賞を受賞すると作品賞にノミネート、受賞されるという傾向があります。過去の受賞作品はラ・ラ・ランド、イミテーション・ゲーム、スラムドッグ$ミリオネアなど作品賞を中心に複数部門に絡んでくる作品が多いです。
受賞に関しては個人的にアカデミー賞作品賞は面白いというより「戦争もの」、「実話もの」に加え世相が反映されているものが選ばれやすいと思っているのですが、今年はワンダーウーマン旋風やハリウッドでの男女ギャラ格差問題、ワインスタイン事件などがあり「女性差別」や「困難に負けない強い女性」が過去に比べ注目されている気がします。かつ、人種差別など世相を反映する要素が多く、世相を反映している度合いが重視されるならあり得るかもしれないです。
ちなみに現段階(11月)での最有力候補はクリストファー・ノーラン監督作品のダンケルクだそうです。
★主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)
予告編公開の段階からノミネートがあり得るのではないかと言われていました。今年はベテラン勢を中心に激戦ですが…ノミネートはほぼ確実にされると思うので、ファーゴ以来の2回目の主演女優賞受賞なるかどうか注目です。予想サイト複数見ましたが主演女優賞の受賞予想は人によってバラツキがあるなという印象で直前まで読めないと思います。
今年は作品の勢いが落ちない限りノミネートされると思います。セブン・サイコパスもですがマクドナー監督の下でのサム・ロックウェルは本当に凄い。「この映画も彼のために作ったのでは?と思ってしまうほど。」ハリウッド映画賞助演男優賞の受賞も決まりましたし、私としては好きな俳優の1人なので楽しみです!
私の中で一番受賞の可能性があると思うのが脚本賞。色々書くとどうしてもネタバレになってしまうので、あまり書けないですが、ストーリーがよく練られていてかなりいい出来だと思いました。あと、役者の魅力を活かしつつクセのある俳優陣をここまで上手くまとめたのも凄い。監督も務めているので監督賞もノミネートされそうですがどうなんでしょうか…
マーティン・マクドナーはもともと劇作家(ハングメンなど)なので舞台を観る人のほうが知っている人が多いと思いますが、これを機に映画界でも有名になるかも…?
海外のレビュー見てもフランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの凄さには言及しているのにウディ・ハレルソンにはあまり言及されていませんが、凄く良かったです!!「助演が主演を引きたてる役割であるとするならば、ウディ・ハレルソンの役はまさに真の助演だと思っています。そういう意味ではサム・ロックウェルは主演よりかも…?」
彼の良さは観たら分かると思うのですが…レビューであまり言われていないのは、おそらく助演男優賞の票はサム・ロックウェルに集まり、ウディ・ハレルソンには集まりにくいからではないかと思います。難しいだろうけどサム・ロックウェルとダブルでノミネートしてほしい。
追記:全米映画俳優組合賞にサム・ロックウェルとダブルノミネートしたのでアカデミー賞ノミネートももしかしたらダブルで… (12月14日更新)
関連作品、オススメ作品など
マクドナー監督過去作品など、独断と偏見で選ぶ「きっとこれも合うだろう」と思う作品の紹介コーナー
特にマクドナー監督作品はこの際是非観てほしいです!
(注意:トークショーで町山さんが言及した作品とは直接関係がありません)
(Huluは契約していないため不明。配信の有無は2017年11月時点の情報を記載。)
★ヒットマンズ・レクイエム(原題:In Bruges) Amazon有料レンタルあり
スリー・ビルボード 同様マクドナー監督作品、コリン・ファレル主役。
日本未公開ながらもヴォルデモート、マッドアイ、グレイブス長官とハリポタ・ファンタビキャストがメインという豪華ぶりで、伏線の張り方・回収ぶりが凄い。ブルージュを観光している気分にもなれる。
これもスリー・ビルボード同様マクドナー監督作品、コリン・ファレル主役。
サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、アビー・コーニッシュなどスリー・ビルボードのキャストも多数出演。曲者中年俳優が好きならオススメです。
トロント国際映画祭観客賞(ミッドナイト・マッドネス部門)受賞作品。
※グロが過激なので耐性のない人は注意
★ファーゴ(映画版)
スリー・ビルボード で主役を務めるフランシス・マクドーマンドが主役。
アメリカの田舎を舞台にした、人の愚かさや哀しさが何ともおかしいブラックコメディ。雪と血の色合いが印象的。
アカデミー賞主演女優賞、脚本賞受賞作品。
★ファーゴ(ドラマ版シーズン1) Amazon prime、Netflix配信あり
BBC版シャーロックでお馴染みのマーティン・フリーマン主役。
映画版ファーゴを基にして作られたストーリー。個人的にはドラマ版の方が笑えました。映画版を観てからドラマ版を観るとより楽しめます。10話できっちり完結するので是非。
★トゥルー・ディテクティブ(ドラマ、シーズン1) R15
スリー・ビルボード出演のウディ・ハレルソンとマシュー・マコノヒーが主役。
サスペンスものでコメディではありませんが、アメリカの田舎を舞台にしていることと、事件の解決より主人公たちの関係性に重きを置いている作品だという事でこれも入れました。硬派な作品が好きならオススメしたいです。8話で完結するので観やすいと思います。
※2話に1回ぐらいの割合でエロシーンがあるので家族みんなで観るのはオススメしません。
最後に
この記事を読んで、スリー・ビルボード観たいなと思ってくれると嬉しいです。
意見等あればコメント欄、twitterで連絡してもらえると助かります。こんなに長いのに最後まで読んでくれてありがとうございました。
妹へ。チケットサイトに全然つながらない中、私の代わりにチケットを取ってくれてありがとう。