スリー・ビルボード 挿入歌一覧(ネタバレあり)

【注意事項!】

 ※この記事は「 スリー・ビルボード 」鑑賞済みの人に向けた記事になります。鑑賞前の人は事前知識なしで本編を観るのをオススメします。

 今回は挿入歌についてです。おそらくこの映画を観た方は「この曲なんて曲?」「どういう意味なんだろう」って思われる方が多いのではないかと思います。よくよく調べてみると意味がかなり込められているなと思ったので分かった範囲で備忘録がてらまとめました。

※曲はほぼ全て紹介していますが、歌詞の意味に関しては理解しきれていないのも多くすっ飛ばしている曲も…メモ帳を整理したぐらいのしょぼいクオリティですがよろしければ。過去記事とダブっているのもあります。まぁ、曲分かれば歌詞分かるしね…(震え)

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△印は意味があるか微妙なやつです。書いてあったので載せてはおきますが、YouTubeでも見当たらなかったりするものもあるし、そもそも印象に残っていないのもあるし

 

プロダクションノートに掲載されている曲

スリー・ビルボードのプロダクションノートが掲載されているURLです。

サントラ未収録分も掲載されています。

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri - Press Site

 

挿入曲の解説の参考になるサイトを掲載しておきます。

ぶっちゃけ、解説はこっち読んだ方がためになると思う。

映画評論家町山智浩さんによる記事

町山智浩『スリー・ビルボード』を語る

サントラのライナーノーツを書いた人の記事

『スリー・ビルボード』サントラ盤に収録されたボーカルナンバーをじっくり味わってみる – Room MGMu

 

以下、掲載されている挿入曲

“Last Rose of Summer (Thomas Moore)” Performed by Renée Fleming

“Last Rose of Summer”

序盤に流れる曲。「 夏の名残りの薔薇 」というアイルランドの詞です。日本版にアレンジされたものもあり、「 庭の千草 」というタイトルになっています。

おそらく、このコテコテアメリカ映画の中のアイルランド要素がこれだと思います。(マーティン・マクドナー監督作品ってアイルランド要素入っている。たしかイギリス・アイルランド二重国籍だか何だか(ごめんなさい。調べ切れていない)過去作の主役はアイルランド俳優のコリン・ファレルだし)

 歌詞の最後を意訳すると「 愛する人がいなくなったら、誰が一人で生きていれるだろうか 」という感じになるのですが、ミルドレッドの心の叫びみたいに感じました。

youtu.be

 “Buckskin Stallion Blues” Written and Performed by Townes Van Zandt

 ミルドレッドが車でエビング市街を運転しているときに流れた曲。終盤で別の歌手が歌ったバージョンの曲が流れます。

※その二つについての違いは終盤の曲の方に記載。

『スリー・ビルボード』サントラ盤に収録されたボーカルナンバーをじっくり味わってみる – Room MGMu

△“Radio Song” Performed by The Felice Brothers

“Radio Song”

多分序盤のビリヤード 

△“Christine Is Dead” Performed by Giampietro Boneschi

“Christine Is Dead”

これどこで流れてた? 

“Chiquitita” Performed by Abba

“Chiquitita”

miyearnzzlabo.com

 ディクソンがイヤホンで聞いている曲。町山さん曰く、これよりディクソンがゲイではないかということが分かるらしい…ABBA=ゲイが好きっていうのはプリシラからきているのか…?

 数多くあるABBAの曲の中でもチキチータを選んだということは何かしら意味があるはず

“His Master’s Voice” Performed by Monsters of Folk

“His Master’s Voice” 

miyearnzzlabo.com

『スリー・ビルボード』サントラ盤に収録されたボーカルナンバーをじっくり味わってみる – Room MGMu

 個人的に2つ目のリンクの解釈がかなり参考になりました。

 ディクソンが広告屋をボコるときの曲。署長と事件の現地調査しているときにディクソンに「広告屋にあんま関わんな」みたいなことを言っていたような気がするのですが…この曲のタイトルを「署長の声を聴け」と解釈するなら「広告屋にちょっかいだすのやめろって言っただろ、聞こえないのかディクソン」って言っているようにも思える。 

△“iNergy” Written by Stephen Arnold (SESAC)

“iNergy”

これは挿入曲というより、ニュース番組によく流れる初めの音楽というか効果音というか。

“Walk Away Renee” Performed by Four Tops

“Walk Away Renee”

 ディクソンが酒場で一人でいるときの曲。予告編でも流れてました。

△“Andante (Mozart Piano Sonata No.1 in C, K.279)” Performed by Maria João Pires

Andante (Mozart Piano Sonata No.1 in C, K.279)”、モーツァルトによるピアノソナタ第一番ハ長調(K.279はケッヘル番号)

ミルドレッドがジェームズとデートしたときに流れる曲

クラシック詳しくないのでアレですけど…△印付けました 

“Night They Drove Old Dixie Down” Performed by Joan Baez

“Night They Drove Old Dixie Down”

ディクソンが酒場でボコられるときの挿入曲。

『スリー・ビルボード』サントラ盤に収録されたボーカルナンバーをじっくり味わってみる – Room MGMu

 南北戦争の悲哀を歌ったものだそう。歌詞を見ると南軍の視点から語られているなという印象。ヴァージル・ケインという男について歌った歌詞のようで、自分たちの側は負けてしまった、負けたことはどうしようもない。でも負けただけじゃダメなんだーみたいな感じですかね。

 ボコられているシーンはディクソンがアホなりに頑張るシーンなのでちょっと重なる部分はあると思います。

“Buckskin Stallion Blues” Performed by Amy Annelle

“Buckskin Stallion Blues”

 ストーリーの一番最後に流れる曲。序盤にもBuckskin Station Bluesが流れましたが、歌手を変えています。

 前半に流れる男声バージョンと比べると歌詞に若干の違いが

男声 I heard her sing in tongues …

女声 I heard you sing in tongues …

 …よく見るとherとyouが違います。序盤はミルドレッド( her )の物語かな?と思っていたが、物語が進むにつれてミルドレッドだけではなく署長・ディクソン含め3人( you )の物語であることが分かってくる…というのを意味しているのだろうか…

 序盤と終盤に同じ曲を持ってきているので何かしら意味はあるんじゃないかなと思います。

『スリー・ビルボード』サントラ盤に収録されたボーカルナンバーをじっくり味わってみる – Room MGMu

プロダクションノートに掲載されていない曲

"Streets of Laredo" Performed by Marty Robbins (序盤の鼻歌)

 ディクソンが序盤で歌っていた鼻歌。ディクソンがマウ!って言っていたので気になった人も多いのでは。鼻歌なのでプロダクションノートに入らなかったのだろう。

 この曲にもどうやら意味があるみたい…

The Monsters in ‘Three Billboards Outside Ebbing, Missouri’ - The Ringer

After 60-Plus Movies, It’s Time for Sam Rockwell to Get an Oscar Nomination | Vanity Fair

2つ目のリンクで本人が言及しているのでこれで確定かと。デニーロが出ているバング・ザ・ドラムで使われているらしい…?

1つ目のリンクではこの曲の意味について言及されています。

That the London-born British Irish playwright and filmmaker Martin McDonagh chose this song to introduce the racist Dixon, played by Sam Rockwell, cannot be coincidental or merely the product of Marty Robbins fandom.
The song is an anthem of regret, but also an admission of guilt.
“Take me to the green valley, there lay the sod o’er me / For I’m a young cowboy and I know I’ve done wrong,” the song goes. 
It’s a cry for mercy, and a fitting song for a character seeking renewal who doesn’t deserve it. But like all good folk songs, it morphs as the singer changes. When the Duke sings it, we hear one thing. When Joan Baez sings it, we hear a different experience altogether. “Streets of Laredo” is not a moral statement of purpose.

The Monsters in ‘Three Billboards Outside Ebbing, Missouri’ - The Ringer

 ここで気になったのが引用箇所の下線部。「悲しみの聖歌であるが、罪を犯していることを自認する歌でもある」となっています。これディクソンじゃないですか…

 ちなみになんでマウ!って言っているのかについては分かりませんでした。なんでだろう…監督はアドリブを好まないらしいので意味があるのかなと勘ぐってしまうのですが。

 あと、どうでもいいけど、ディクソンのパトカーにぬいぐるみがぶら下がってるの可愛かった笑

 

字幕がいるのか否か

 挿入歌に意味があまりにも込められているせいか、挿入歌に字幕入れてくれっていう意見をよく見ました。著作権の関係で入れられないというのが一番の理由だと思います。Blu-rayが届いたので英語字幕で再生したところセリフと被らないかぎり字幕になっていました。

 ただし、字幕が入っていたとしても「この曲は〇〇を意味している」ってアメリカの時代背景をあまり知らない私たちが理解するのはかなり難しいと思います。挿入歌について紹介しているブログをいくつか読みましたが、アメリカの歴史、キリスト教など、背景知識を知っていないと和訳は出来ても解釈は容易ではない印象。歴史やキリスト教に詳しい英語圏の人が挿入歌でどう思ったのか気になる。あと、私としてはセリフが多いのでゴチャゴチャするんじゃないかなとも。